独創の研究開発から生まれたリチウム箔
リチウム電池が市販された当初、その負極材料であるリチウムフォイルは精度が悪く、電池メーカーは高精度なリチウム材料を求めていました。その頃、当社はライターの石を製造していました。ライターの石は発火性合金で加工には高い技術力を必要としていました。そこで、リチウムも空気に反応して発火するなど技術的に共通するものがあることから、当社にリチウムフォイルの作製依頼がきました。昭和54年のことでした。それからニーズに応えるべく研究開発を実施、昭和56年には製品化に成功しました。(現会長本城玄之)

 それから、リチウム金属箔は、究極のリチウム電池用高容量負極材料として研究開発が進められてきました。圧延法では従来押出し製法で100μmまでの薄膜化が限界であったにもかかわらず、一気に30μmまでの薄膜化に成功しました。また、現在は気相法を用いて30μm
(参考文献1-3)以下のリチウム薄膜の製造に取り組んでいます。これまで気相法の一種であるガスデポジション法を用いて20μmを下回る超薄膜リチウム金属箔加工を確立しました。(研究成果13-17)現在は、真空蒸着法を用いて超薄膜リチウム金属箔加工を実施しております。また、押出し製法、圧延製法に関しましても、今なお、お客様のニーズに応えるべく開発を続けています。このようなリチウムフォイルを提供する技術は、次世代高エネルギー蓄電デバイスを実用化するために必要不可欠な技術ではないでしょうか。

 市場ニーズを的確に捉える本城金属の研究開発体制は、他社の追随を許しません。21世紀の社会をささえるリチウムエネルギー。私たちはリチウムにおける無限の可能性を信じています。だからこそ、私たち本城金属の研究・開発、生産・管理技術や体制はとどまることなく進歩を続けているのです。そしてリチウム市場が私たちを必要とする限り、私たちは期待に応えてまいります。明日の豊かな社会のために、リチウム素材生産の第一人者としての貢献を惜しみません。

参考文献
1)リチウムによる低コーティングと水素挙動(1988)
2)Li(PM)を原料とするLi
2OあるいはLi2CO3薄膜の減圧MOCVD(1997)
3)リチウムコンディショニングによる炭素不純物の抑制機構(1998)


   本城金属 研究成果
1)1988年
 「高性能リチウム二次電池用負極活物質リチウムアルミニウム合金の製造方法の開発とその性能テスト」
 (財)中小企業ベンチャー振興基金の助成金によりプロジェクト実施
2)1993年電池技術委員会資料
 「リチウムに関する現状」掲載(斎藤他)
3.4)1993年11月22日 第34回電池討論会にて
「リチウム電池用リチウム電極の加工における雰囲気の影響」(山本他)

22.7MB
「充放電にともなうLiおよびLi合金の表面形態変化の観察」(藤枝他)発表
16.6MB
5)1994年 Power Sourcesに
 「Surface of lithium electrodes prepared in Ar+CO
2 gas」(藤枝他)論文掲載
6)1995年9月13日 第36回電池討論会にて
「Ar+CO2混合ガス中で作製リチウム合金表面のインピーダンス解析」(山本他)発表

6.4MB
7)1997年
 「リチウムイオン電池用電極材の工業化」
 (財)大阪府研究開発型企業振興財団よりベンチャービジネス融資支援事業の対象企業に認定されプロジェクト実施
8)2000年12月 軽金属50巻第12号に
 「純リチウムの塑性加工性」(堀他)論文掲載

3.8MB
9)2001年12月 「金属」vol.71(2001),No7に
 「リチウム-今日の金属」(堀他)掲載

3.61MB
10)2001年12月7日 電池工業会一次電池資材委員会にて
 「金属リチウムの市況」講演(木谷)
11)2006年4月2日 2006年電気化学会第73回大会にて
ガスデポジション法[GD法]を用いたリチウム薄膜の作製方法と電気特性(山川他)発表
 電気化学会 第73回講演予稿集より(山川他)

63.3KB
12)2006年4月2日 2006年電気化学会秋季大会にて
  「エアロゾルデポジション法によるリチウム電池用合金系負極の作製」(山川他)発表
 2006電気化学会秋季大会講演予稿集より

33.4KB
13)2006年11月21日 第47回電池討論会にて
 「ガスデポジション法用いた電極作製技術」(山川他)発表
 第47回電池討論会講演予稿集より

77.6KB
14)2007年11月15日 第48回電池討論会にて
 「ガスデポジション法により作製した合金電極の電極特性」(山川他)発表
 第48回電池討論会講演予稿集より

102KB
15)2008年3月 Electrochemistryに
 「ガスデポジション法によるリチウム薄膜及び合金薄膜の作製と電極特性」(山川他)論文掲載
 16)2008年11月 第49回電池討論会(3E18)
 「合金系負極へのリチウムドーピング技術」発表(山川他)
 17)2009年7月 技術情報協会主催セミナー
 「リチウム薄膜電極の作製と応用〜リチウムプリドープ〜」講演(山川)
 18)2009年10月 KRI ワークショップ’09で
 「リチウム金属の新展開」講演(山川)
19)2010年6月 加工技術研究会発刊コンバーテック2010年6月号
 「リチウム金属の今と未来」掲載(山川)
 20)2010年9月 技術情報協会「リチウムイオンキャパシタ(LIC)の部材、製造、
 試験とその最新技術」第4章5節プリドープに使用されるリチウム金属掲載(山川)
 21)2010年10月 技術情報協会セミナー
 「プリドープに使用されるリチウム金属」講演(山川)
 22)2011年1月 情報技術協会「リチウム二次電池部材写真集−表面形状、分散状態、
 内部構造、組織分布、劣化状態の観察−」第2章2,3節リチウム金属箔の組織観察、
 リチウム合金箔の組織観察掲載(山川)
 23)2011年4月   日本工業出版「業界別にみる化学装置の活用と設計」
 特集「リチウム金属箔の製造技術と新型電池の創造」掲載(山川)
 24)2012年1月 技術情報協会セミナー
 「リチウムイオンキャパシタ用プリドープ部材リチウム金属の現状と特徴」講演(山川)
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